フリーランスのデスクイメージ

こんにちは。

私は会社を退職して現在フードデリバリーをしておりますが、フリーランスもとい個人事業主がどういう立場でどんな手続きをしなければいけないのかを知らなかったので本で学ぶことにしました。

今回は税理士と社会保険労務士の先生が書いた『フリーランスの教科書』を読んだのでまとめてまいります。

ただし2012年の本なので古い情報もあるかもしれません。最新の情報は国税庁のHPなどで確認されることをおすすめします。

フリーランスの働き方

まずはサラリーマンとフリーランスの働き方がどのように違うのかです。

働く時間と場所は自由

士業の先生にとっては当たり前のことですが、私がハッとしたのは「正社員も契約社員もパートもアルバイトも会社に雇われて給料をもらっているサラリーマン」だという指摘です。待遇に違いはあれど雇われていることに違いはありません。

一方フリーランスはどこにも雇われていない個人事業主です。仕事をするときは取引先と契約してそのつど売上を立てる一人会社のようなものです。

サラリーマンとフリーランスが大きく違うのは働く場所と時間を決められているかという点。

サラリーマンは会社に雇われているので就業規則に従わないといけません。就業規則には労働時間や働く場所などが書かれています。なので労働時間が9:00~17:00だったらその時間は働かないといけませんし大手町にある○○商事国内事業部に配属されたらその部署まで出社しなければなりません。

しかしフリーランスは雇われていないので守るべき就業規則がありません。なのでいつ働いてもいいですしどこで働いても文句はいわれないわけです。カフェでコーヒーを飲みながらいちごジャムをたっぷりかけたスコーンを食べて仕事をしていても納期通りに商品やサービスを納品してOKをもらえればそれでいい。

個人的にはこの時間と場所の自由が最大のメリットだと思います。売上が少なくても時間があれば動画を撮ってみたり記事を書いてみたり、あるいは株式を買ってみたり免許を取ってみたりと次の仕事や収入につながるアクションを取れます。お金はあるに越したことはないですが時間がなくて身動きできないサラリーマンは意外と多いのではないでしょうか。

経費は自腹

サラリーマンはボールペンやふせんといった事務用品から出張したときの宿代や新幹線代まで会社の経費でまかなうことができます。しかしフリーランスは会社に雇われていないので経費は自分持ちです。

ときどき「フリーランスになると会社の中抜きがなくなるから年収アップするのではないか」と考える人もいるそうですが、中抜きはあるにせよフリーランスの売上は経費込みなので同じ仕事をしてもサラリーマンの年収より高くなるのは自然なことだそう。経費込みで取引先に請求しないと生活が厳しくなるのでギャラの交渉には必ず経費込みで利益が出る額を提示しようというのが先生の教えです。

仕事に直接関係はないものの健康保険や厚生年金もサラリーマンだと会社が半分支払ってくれますよね。フリーランスだと健康保険は全額負担しますし厚生年金はないので積み立てるならやはり全額負担です。こういう支払いも見越して利益が出るようにしましょう。私もがんばります。

仕事はそのつど交渉して契約する

サラリーマンだと仕事はあらかじめ用意されています。まず営業部がコンペの情報をつかんで管理部が積み上げた原価をもとに売価を提示して受注し、設計部が図面を描いて購買部が調達先を探し生産技術部が設備と工程をととのえるみたいな感じで案件ありきで動いていきます。たとえ飛び込み営業だとしても商材を売るという仕事は用意されているのでゼロから仕事をとるわけではありません。

一方フリーランスになると仕事を獲るところからスタートします。エンジニア時代のお客さんが発注してくれたり元いた編集部が新刊の仕事をくれたりはあるようですが契約は一からになります。

ただしフリーランスは会社の後ろ盾がないので「法人面をして納期・業務内容・ギャラ・支払期日を決めよう」と先生はアドバイスします。フリーランスは個人でも取引先はIT企業や出版社など法人が多いかと思います。法人と渡り合うには法人になるのが一番ですがここはひとまずフリーランスでやっていくとして「あたかも法人であるかのように」交渉するのが戦い方だということですね。ただの個人では安くこき使われて終わるリスクがありますから。

フリーランスの税金

私は確定申告をするくらいしか知識がなかったのですが売上が増えるといろいろな税金が発生するようです。

税金は自分で確定申告して支払う

サラリーマンだと経理部が引き受けてくれていたことをフリーランスになると自分でやることになります。

私は会社を辞めて1年目は白色申告をしましたが青色申告のほうがメリットが大きいです。

たとえば青色申告だと売上から最大65万円が無条件に控除されて課税所得が下がります。赤字も白色申告は「残念だったねチャンチャン」で終わりますが青色申告だと3年間繰り越せるのでこれもまた課税所得が下がります。

また、税務調査が入ったときも白色申告だと推計課税といって「領収書などはないけど経費です」と言い張る納税者に「あなたの業種ならもっと交際費は低いはず。同業他社の水準に合わせるために20%は経費から削ってください」と税務調査官がいってきますが青色申告だと推計課税はできません。

青色申告だと何かとメリットがあるわけですね。ただし青色申告の恩恵を受けるには青色申告承認申請書を提出して認められること、複式簿記で記帳すること、帳簿や領収書など一式を7年間保管することの3つを守る必要があります。きちんと記帳していれば税金も取れて税務調査官の仕事も減るので見返りに課税所得を下げてもいいということですね。

職種によっては事業税がある

これははじめて知りました。

たとえばデザイナーや士業のかたは事業税が発生します。おおよそ(課税所得-290万円)×5%みたいです。売上から経費と控除を除いた課税所得が290万円を超える人は事業税がかかってきますのでご自分の職種が当てはまるか調べてみてください。

事業を営むのにかかる税金なのでなんだか公共のショバ代みたいだと感じました。

前々年の売上が1,000万円以上なら消費税がかかる

何を消費しているのかはわかりませんが前の前の年、つまり2年前の売上が1,000万円を超えると消費税がかかります。

小ネタ

そのほかフリーランスに役立つ情報です。

「経費とわかれば仕訳は間違えてもいい」:旅費交通費だろうが消耗品費だろうが新聞図書費だろうが経費は経費。それが経費になるなら仕訳の間違いなど取るに足らないことなのだ、と励ましてもらえます。私も調べながら確定申告しました。

「レシートも証憑(しょうひょう)として通用する」:領収書をもらわないと経費にできないのではないかと私も思っていましたがレシートも取引の記録なので経費の証拠になるみたいです。証憑は調べたら根拠とか証拠という意味でした。

「支払調書は支払先に発行する義務はない」:何社か契約しているフリーランスで確定申告するときに取引先から支払調書が送られてこなくて困るといった相談があったようですが、先生によると会社は税務署に支払調書を提出する義務はあっても支払先であるフリーランスに提出する義務はないようです。なので支払調書がなくても確定申告しましょう。税務署はバッチリ売上を把握しています。


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フリーランスの保険

保険はサラリーマンと大きく違うところですよね。

休業補償はない

フリーランスは基本的に国民健康保険に加入しますが、国民健康保険には休業補償がありません。サラリーマンのようにケガをしたり病気になったりしても収入が補償されないので動けなくなると無収入になります。

私はサラリーマンだった頃休業補償など意識したこともありませんでした。しかしフリーランスになってから足を捻挫して一か月動けなかったときがあり休業補償のありがたさが身にしました。

フリーランスはたくさん儲けたらその分たくさんもらっていい立場にありますがその代わり健康管理まで自己責任になるというギリギリの立場にもあるということですね。

厚生年金もない

サラリーマンには国民年金のほかに厚生年金がありましたがフリーランスには国民年金しかありません。そのまま国民年金のみ積み立てても厚生年金まで積み立ててきたサラリーマンと比べて老後の収入に差が出てきます。

そこで国民年金基金や確定拠出年金といった制度を使って厚生年金に代わる老後のお金を積み立てていきましょうというのが先生のアドバイスです。

フリーランスの法人化

フリーランスの法人化については以下の通り。

法人化は課税所得700万円から考える

フリーランスが法人になるなら課税所得が700万円を超えたときが目安のようです。

フリーランスの場合、主に所得税、住民税、事業税がかかってきますが、法人の場合法人税、住民税、事業税、地方法人特別税がかかってきます。もしフリーランスで売上がアップすると累進課税である所得税をはじめ税金が大きくアップしますが、法人にすることでトータルの税負担が安くなる可能性があるのが課税所得700万円からということらしいです。

法人にすることで税負担が軽くなるのはいいと思うものの節税した分のお金は法人の純資産になるのでポケットマネーほど自由に使えないのではないかと思います。会社をずっと回していくことが前提ではないでしょうか。

法人化するメリット

フリーランスが法人化することで役員報酬に給与所得控除を使えるようです。給与所得控除は経費と違って無条件に控除されるので証憑は必要ありませんし、法人になると経費を法人のお金から出すことができるので手取りが増えるということでしょうか。

またフリーランスが親族に給料を支払うにはその親族が専従者といってフリーランスの仕事だけを手伝っているという事実がないといけませんが、法人になると親族がほかに仕事をもっていても給料を支払うことができます。

夫婦で花屋さんをやっているとすると、フリーランスの場合旦那さんが奥さんに給料を支払うには奥さんが花屋の仕事だけをしている事実がないといけませんが、法人になると奥さんが介護施設で働いていたりフリーのデザイナーをしていたりしても関係なく給料を支払えるということですね。

給料を支払ったといっても親族ですから家計は同じでしょう。となると親族に支払った給料の分だけ自分たちのお金になり、さらに給料なので給与所得控除が使えるわけで課税所得を下げつつ手元にお金を残せるようです。

ほかにも法人になると信用ができるというメリットもあります。私が働いていた企業は東証一部上場でして取引先を選ぶ基準がとても厳しかったです。ましてや法人ですらないフリーランスはそもそも契約できなかったので取引先の候補にすらならなかったです。

フリーランスというと時間と場所に縛られない気楽な稼業だと思っていましたが発注する側になって考えてみると不安定な取引先であることは否めません。その点法人になると資本金も用意しますし経理もやって決算書を作りますし経営計画を立てて必要な売上が立つよう営業をかけるなり社員を雇うなり責任が伴うわけです。

発注する側が大手になればなるほどフリーランスよりも法人のほうが信用されるのではないかと思います。ですので業種によっては法人化したほうが有利な業種もあることでしょう。

法人化するデメリット

しかし法人化はメリットだけではありません。

たとえば役員報酬は年間を通して固定されます。売上がよかった月だけ役員報酬を上げることもできませんし売上が下がった月だけ役員報酬を下げて補填することも原則できません。

またフリーランスの場合交際費は全額経費になりましたが法人になると資本金1億円以下の規模で年間600万円が限度、さらに交際費の10%は経費にできないので自腹になってしまいます。

経理についてもフリーランスなら会計ソフトで済ませられると思いますが法人になると複雑になるので自分でやることが難しくなります。そうすると税理士を雇うことになるのでコストがかかります。

法人になってから注意すること

そのほか法人になる際の注意事項として賃貸を事務所にする場合大家さんの許可を取る必要があります。SUUMOやHOMESを見ていると備考に「事務所利用不可」と書いてある物件を見たことがあると思います。そうした物件では事務所登録ができませんので事務所利用できる賃貸に引っ越すかオフィスを借りる必要があるということですね。

オフィスを借りるといっても住所と郵便受けだけのバーチャルオフィスでは法人口座が作りにくくなるそうです。これは盲点でした。

また知り合いをオフィスに呼んで手伝ってもらうという場面も出てくるかと思いますが、2か月以上オフィスで仕事をしてもらうと労働者を雇っていることとなり会社として社会保険に加入する義務が発生するとのこと。たとえ親しい人でも時間と場所を拘束して働いてもらっていることになってしまうので気をつけねばと思いました。

まとめ

ここまで専門的な話が多くまとめていて憂鬱になりました。

しかしこの本の最後にはフリーランスで働く人への励ましのことばがありました。心に残ったのでここに引用いたします。

条件面だけで考えると、不利なことも少なくないフリーランスですが、束縛されず、自分の意志で自由に活動できるのがなによりの魅力でしょう。…時間の自由が利き、お金を稼ぐことだけに縛られないライフスタイルを追求することもできます。自分の人生を自分で切り拓いていく。これこそが、フリーランスの醍醐味です。

見田村元宣、内海 正人『フリーランスの教科書』星海社、2012年、206ページ

サラリーマンほど守られてもいなければ会社ほど信用があるわけでもない宙ぶらりんなフリーランスですが、それでも時間と場所の自由がきくのは思った以上に快適です。

フリーランスの特権である時間と場所の自由を活かしてこうした本で学び制度を使いこなしながら節税して食いぶちをコツコツ作っていくのがいいのではないかと思います。


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