きゃりーぱみゅぱみゅ2万字インタビュー

最近「きゃりーぱみゅぱみゅはすごい人ではないか」と思うようになり2万字にわたるインタビューがあると知ったので読んでみました。

ファンのかたには失礼ですが歌もダンスもうまい人ならほかにもたくさんおり、バックには中田ヤスタカという第一線の作曲家もついているなかでなぜきゃりーぱみゅぱみゅというキャラクターがあれほど魅力的なのかが気になりました。

なぜきゃりーぱみゅぱみゅというのか

失礼ながらなぜきゃりーぱみゅぱみゅというのか知らなかったので名前の由来から。

インタビューを読むと、きゃりーは高校生のときに金髪にしていたときのあだ名、ぱみゅぱみゅはモデルをはじめてからアメーバブログでブログをはじめるときに「きゃりーのブログ」ではインパクトがないから「きゃりーぱみゅぱみゅのウェイウェイブログ」としたのが由来だそうです。

さらにぱみゅとは何かと調べているとお笑いコンビサバンナの八木真澄さん、もとい八木さんのお兄さんの持ちネタからきているとのこと。

5:30からぱみゅぱみゅの由来がサバンナ八木さんのお兄さんだと明かされる。

なぜひらがなかというときゃりーさん自身がひらがな好きだから。きゃりーぱみゅぱみゅの正式名称であるきゃろらいんちゃろんぷろっぷきゃりーぱみゅぱみゅもすべてひらがなですね。正式名称は「本名を教えてください」といわれて「もう面倒くせえ鬱陶しいと思って(笑)」後から考えたとのこと。こりん星から来たわけではないようです。

高校生の頃に友達と電車賃を浮かすために渋谷から原宿まで歩いていたところ、ストリートスナップで有名な雑誌『KERA』に声をかけられてスナップ写真が載ると、読者の反響が大きく『KERA』編集部から撮影依頼が舞い込み、あれよあれよとモデル業にいそしむことになるきゃりーさん。

高校生でモデル業にいそしみながらも進路で迷っていたところを中田ヤスタカさんに出会い歌手デビューをする流れになったのがきゃりーぱみゅぱみゅということでした。

イヤなことはイヤ

きゃりーさんの2万字インタビューを読むと好き嫌いがはっきりしている人だという印象を受けました。

最終的に自分はこうしたいっていうふうにはなっていくように、まあ、向こうが諦めるっていうか。意外と頑固な部分もあるのかもしれないです

小栁大輔、きゃりーぱみゅぱみゅ2万字の告白『ROCKIN’ON JAPAN』2013年8月号、114ページ

きゃりーさんは黄色が好きではなくデザインする衣装にも黄色はなるべく使いません。なぜなら小学校時代に「あの人は色でいうと何色か」という話になって「きゃりーはすっごい明るいから黄色」と同級生にいわれたから。ほんとうはピンクが好きだったきゃりーさんはそれ以来黄色の服は着なくなったといいます。

よく修学旅行のバスでもアンケートを取って有名になりそうな人ランキングなどを発表したりなどあったかと思いますが、人から「有名になりそうだね」とか「青とかさわやかな色が似合うよ」といわれてうれしくない人はなかなかいないのではないでしょうか。むしろ自分の考える自分とは一味違った見方がうれしくてつい図書室でエジソンの自伝を借りてみたりユニクロかしまむらで青い服を試着してみたりするのでは。

そこをあえて「わたしピンク好きだし」と突っぱねて黄色い服を着なくなったきゃりーさんは頑固ともいえますが好き嫌いがはっきりしていて小さいころから自分があったのだと思います。学校という閉鎖的な場所で自分を貫くあたり芯がないとむずかしいでしょう。

好き嫌いがはっきりしているのは勉強でも同じく。

(分数の勉強で詰まったとき)もうわけわかんないから、無理して覚えなくていっかあと思って。…今もそうなんですけど、一緒にいる友達とかにも「きゃりーって本当に興味がないことには興味がなさすぎてヤバイ」って言われて。…熱があるかないかでめちゃくちゃ変わるんですよね。

同書、118ページ ※()内の注釈は私があとから付け加えています。

私も含めてだいたいの人は分数がわからなくても赤点を取って再テストを受けたくないし友達にもバカだと思われたくないから無理やりがんばると思います。そこをきゃりーさんは「無理して覚えなくていっかあ」と流し、あとで触れるように好きな美術に全力を注いで賞を獲るあたり、イヤなことにはイヤといい好きなことには没頭する芯の強さがあります。

とはいってもきゃりーさんに訊いたところで「そうかもしれませんね」で流されてしまうくらい本人には当たり前のことだと思いますが。

好きなことは好き

さて、きゃりーさんの好き嫌いについて嫌いの部分を書いてきましたが好きなことはとことん好きだそうで色々なエピソードが語られています。全身赤で統一した時期のことや小学校高学年になってから小学1年生が使うような筆箱がアツくなって使い出したりなど。

詳しくはインタビューにゆずりますが、さきほど触れたように小学生のころから美術が好きで西東京市の展覧会に何度も入選し、一度賞を獲って西東京市の冊子の表紙を飾ったこともあるみたいです。

きゃりーさんいわく大仏をデッサンしたり「自分の中のモンスターを描いてください」といった課題が好きだったりと小さいころから独特の感性がうかがえます。PVにまんだらのような世界が使われたり顔のないモンスターがダンスしたりするのはこの感性から作られているのでしょうか。

たとえばメジャーデビューアルバム『もしもし原宿』のPONPONPONに登場するダンサーは顔を隠してモンスターのようだ。
原宿いやほいはモンスターがたくさん登場する。ダンサーは顔出しだがどこにでもいる顔とメイク=顔を隠す演出に感じる。

友達と電車賃を浮かすために渋谷から原宿まで歩いているときに雑誌『KERA』からスナップ写真をお願いされた際も「全然いいですよ」とOKしてその後の撮影もこなしていたようです。街中で写真を撮らせてくださいといわれて、反響が大きいからまた撮影させてくださいといわれてOKを出すのはなかなかできないのではないかと思います。

雑誌には目を見張るようなモデルがたくさんいますし、業界のこともまったくわかりません。ましてや自分がモデルになったページを読者が喜んで見てくれるのか、「かわいくないのにモデルなんかやらないでよ」と陰口をいわれないか。不安はつきないことでしょう。

そんな不安がうずまくであろうなかきゃりーさんはモデルになったのですから運の良さなど関係なく本人の実力でのし上がってきた人です。モデル業も研究しながら模索していったようです。

当時お洒落とかわかんなかったんですけど、そこから結構原宿系を研究するようになって。自分が雑誌に出るんだったら、もっとちょっと変わんなきゃ自分と思って、原宿行くようになったら魅力にハマっていきましたね

同書、119ページ

失礼ながらはじめはきゃりーさんのことを「どこにでもいる女の子」だと思っていました。「どこにでもいる女の子」が奇抜なファッションでたまたま目立っただけだろうと。しかしモデルになるには覚悟が必要ですし「雑誌に出るんだったら、もっとちょっと変わんなきゃ自分」と考えて原宿でファッションを学んでいったわけで、本当のところは「アーティストになろうと決めた人が毎日仕事してアーティストになった」というお話だったわけです。

運の良さよりきゃりーさんとスタッフのかんばり

「どこにでもいる女の子」が奇抜なファッションで売れただけなら「運がよかったね」といいたくなるかもしれませんが、2万字のインタビューを読むととても運がよかったからアーティストになれたとは思わなくなります。

2万字といってもきゃりーさんがすべてを語り尽くしているわけではないですし2013年のインタビューで若かったこともあるので「インタビューを読んだからと言って何がわかるのか」といわれたら何も言えません。

しかし「どこにでもいる女の子」にみえる人がなぜ小さいころから歌やダンスを練習してきたアーティスト志望の人たちを抜いてきゃりーぱみゅぱみゅになったのかを感じることはできます。

「きゃりーはいいよね」みたいなこと言われると「そうじゃないよ」ってすごく嫌な気持ちになります。…いわゆる下積みとかはないかもしれないけど、「次こうするよ」とか「世界ツアー回るよ」って言われた課題をひとつずつクリアしていってるのは自分と自分のスタッフなので

同書、120ページ

きゃりーさん自身もデビューしてから「運がいいよね」と周りにいわれてきたのがインタビューを通してうかがえます。しかしそういわれると嫌な気持ちになる。なぜなら目の前の課題をクリアしてきたのはきゃりーさんとスタッフだから。

私も当時きゃりーさんが世界ツアーに行くのをテレビで見て「原宿系のコアなアーティストのライブが海外でウケるのか」と思ったことを覚えています。仕事とはいえ海外ツアーのオファーに「やります」といえる人はアーティストのなかでも少ないのではないでしょうか。勝手もわからずファンもいるのかすら知らないアウェイでコアな音楽を披露するのです。ふつうだったら「やります」とはいいにくい状況。

しかしきゃりーさんとスタッフはそのようなアウェイで海外ツアーを回ってきたのですね。インタビューでも「全部日本語のライヴだし、PVを観て100パーセント以上のわたしを知ってるのにそのあとにライヴを観たら、ものすごいセットがあるわけでもないしっていう」と本人もプレッシャーがあったようです。そのプレッシャーを感じながらアウェイでライヴをできる人が「どこにでもいる女の子」なはずはありません。

きゃりーぱみゅぱみゅというアーティストは運がよかったのではなくなるべくしてなったアーティストだった。そういうことがこの2万字インタビューには凝縮されています。

Wikipediaやネット記事できゃりーさんのことを知るのもいいと思います。しかし、老舗の音楽雑誌の企画として世に出たインタビューはネット上のどの記事よりも濃く、きゃりーさんを知らなかった私ですら「これはまとめなくては」と思うくらいきゃりーさんの考え方がつまっています。2013年の雑誌ですがAmazonマーケットプレイスなどで手に入るのでぜひ一度きゃりーわーるどを堪能してください。


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